大網白里市は、千葉県の内陸に位置する町だ。
中心の駅は大網だ。
東京からは、JR京葉線と外房線を乗り継いで約1時間半で着く。
この町には、『Openheart城』という、城のようなモーテルがある。
大網からは、徒歩約30分、タクシーなら10分ほどでホテルに着く。
大網街道を抜け、国道128号線を進んでいくと、水田が広がる地帯に差し掛かる。
その中に、クリーム色と緑色のお城がポツンと建っている。
看板は旧店名「キャッスル」になっている。
敷地に入ると、女神像やレリーフが貼られた壁面と、「エモいホテル」の看板が目に付く。
部屋の写真がなかったため、スマホでホテルを紹介しているサイトを見て、部屋を探した。
該当する部屋「クレオパトラ」の、ガレージに構えられたドアを開く。
階段を上り、部屋のドアへ向かう。
水回りを経て、奥まった所にメインの部屋がある。
手前にソファとテーブルが置かれ、奥に馬車ベッドが置かれた、パステルカラーの空間だ。
ベッドに目が行くが、それ以外にも見所が多い。
テーブルは、バラがモチーフの白い脚が特徴だ。
テーブルの上の天井からは、花びらのようなシェードの明かりがぶら下がる。
シェード部分もそれらをつなぐ部分も、曲線的だ。
ベッドの傍らには、ボタニカル柄と白い脚の椅子が置かれている。
おそらく、テーブルとお揃いのデザインだと思われる。
椅子が接している壁には、ショーケースが構えられている。
中には、昔の自転車の模型に、色とりどりの花が添えられた装飾が置かれている。
色遣いが多様で、ドライフラワーであることも忘れて見入ってしまった。
反対側の壁は、一見すると何の変哲もない。
しかし、ブラックライトを照らすと、イラストが浮かび上がる。
モチーフは、宮殿から見た海沿いの絶景、という感じだ。
ライトで浮かぶ絵とは思えない、油絵のような重厚さがある。
馬車ベッドは、薄い水色とオレンジ色で塗装されている。
鮮やかな赤色のブランケットが、馬車の内側を覆う。
前面と側面は、薄い水色を基調としている。
縁の部分は、オレンジ色に塗られている。
側面には、金色の車輪と装飾が付いている。
側面中心には、ステップが設けられている。
ステップに足を掛け、ベッドの内側に入る。
ベッドヘッドの周囲は、椅子と同じボタニカル柄になっている。
横になって上を向くと、シンプルなパステルカラーの天井が見える。
天井もまた、ブラックライトの機能があるため、オンにする。
すると、夜空の絵が浮かび上がった。
真上は満天の星空、右を向くと外国の海辺の風景、左を向くと自転車モチーフのフラワーアレンジメント。
とりとめがないのに、どこか優雅で趣を感じるインテリアといえる。
今回は、優美な調度品や飾りに囲まれた、馬車ベッドの部屋を訪れた。
「エモいホテル」のキャッチコピーに偽りない部屋だった。
また、昭和のモーテルらしい外観も魅力的だ。
東京からも遠くないので、また折を見て訪れたい。
2025年7月探訪