幕張には、幕張メッセやイオンモール豊砂などがある。ディズニーランドも近い。
そんな幕張には、重厚なお城のようなラブホ『ファミー』がある。
JRの幕張本郷・京成幕張本郷から、幕張豊砂方面へ10分歩く。京葉道路を渡った先の、ラブホが集まる一角へと入る。
赤い煉瓦と尖った青い屋根の城は、遠くからでも目立つ。
フロントで、「10時から、701号室のフリータイム予約をしている者です」と告げた。(公式サイトから予約が可能)
前払いして鍵を貰い、部屋のドアを開けた。
落ち着きと木の温もりを感じる和室が広がっている。玄関とつながっているのが居間空間、飛び石を渡った先にあるのが寝室空間だ。
玄関と居間空間をつなぐ所には、日本的な装飾がある。天井は瓦屋根で、壁は金色で桜が描かれている。
足下には、石と灯籠がある。
居間空間の中央には、脚の短いちゃぶ台と座布団がある。茶系でまとめられている。座布団に腰掛けて足を伸ばすと、ゆったりとした気分になる。
座布団から見て右側の壁に注目する。冷蔵庫と食器棚に挟まれた所に、書院造りの装飾がある。
決して派手ではないが、日本的な趣を感じる。
部屋の角の天井には、木の板が貼られ、球状の照明器具がぶら下がっている。丸い光が、優しく天井を照らす。
壁は、数種類の柄の壁紙からできているのが分かる。
ちゃぶ台の真上には、不思議な絵が描かれている。立方体を複数組み合わせた照明器具が、絵に囲まれている。
座布団に座った時は、テレビを観ても天井を見ても、どちらも楽しい。畳の感触が、足に心地よい。
居間空間から寝室空間へは、飛び石を渡って移動する。飛び石は、木の柵(?)に挟まれている。
飛び石に立って右を向くと、灯籠と石の枯山水が目に入ってくる。擬宝珠の付いた欄干が、枯山水の脇に立つ。
左を向いても、同じような光景が続いている。枯山水は、玄関付近で見た装飾とつながっている。
飛び石を渡ると、布団が畳に敷かれた光景に出会う。
この空間には、古き良き懐かしさだけでなく、色気も感じられる。その原因が、寝室空間の3方を囲む御簾だ。
御簾はやや赤みを帯びている。粗めの縫い方で透け感を出している。御簾の上に、刷毛のような赤色や紫色の飾りが掛けられている。
布団の頭側には、電話などが置かれた装飾的な台がある。
台の左側に垂れている小さな御簾は、3方を囲むものとお揃いだ。
台全体に、カラフルな模様の布が貼られている。
布団に横たわる。
天井の一角が、鏡になっている。
鏡でない所は、赤茶色のチンチラ貼りでまとめられている。
何となく感じていた色っぽさが、ここへ来て倍増した。
細長い鏡の中央に、立方体を4つ並べた照明器具がぶら下がる。障子のように木を組んだ装飾がある。
少し身体を起こすと、木の装飾越しに居間空間も見える。
わびさびの居間と情熱の寝室。
好対照をなしている。
今回は、渋さの中に色気が見え隠れする、和室の部屋を訪れた。
畳敷きも飛び石も、また布団も、貴重な要素といえる。新しいホテルにもこれらの要素を取り入れたらいいのに、と思うのは私だけだろうか。
2023年9月探訪
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