7月、新幹線と東海道線を乗り継ぎ、岐阜を訪れた。
岐阜駅の北口からは、バスに少し乗れば岐阜城や長良川に着く。
岐阜城は山の頂にそびえ立ち、
岐阜市街を一望できる。
長良川は鏡のような透明度を誇り、
夏の夜は鵜飼いを観賞できる。
岐阜の趣を味わえるスポットが目白押しだ。
しかし、岐阜駅の南口は全く違う。
高架に沿って、金津園と呼ばれる風俗街があるのだ。
改札とペデストリアンデッキが直結した北口とは違い、南口は階段を降りなければ出られない。
駅に最も近いのは、もはや死語となった『スチュアーデス』。
緑色のペガサスと赤い文字、小さなステンドグラスの窓が特徴的だ。
ドラマ『スチュワーデス物語』の放映時期よりも、古くからありそうだ。
同じ通りには、筆文字が力強い『シルクロード』、
電話番号の語呂合わせが意味不明な『ウェット・フラジール』が並ぶ。
『G』が横にやたら長い『GOLD』は、建物の一部が不自然に細い。
駅のホームからも見える『クリスタル』は、赤と白で鮮烈な印象を受ける。
『バースデイ』はラベンダー色が所々に使われ、和風の城のモチーフが使われている。
通りを一歩入ると、圧巻の光景が待っていた。
右も左も、奥までずっと風俗店しかない通りだ。
『青いりんご』は、建物全体が青りんごの色に染まっている。
店名が『英國屋』なのに、ネオンは駒と赤い電車(名鉄?)で、イギリスと何の関係があるのかよく分からない。
重厚な城の屋根がモチーフなのに、店名が『気まぐれ天使』とは、ギャップが大きい。
『いろは』は石鹸のイラストで、何の店かが一目で分かる。
多くの店が装飾として使っていたのが、女神や女性をモチーフとした彫刻だ。
『青いりんご』の建物の一角は、くり抜かれて3体の女神像が飾られている。
薄い布を纏い、伸びやかなポーズを取る。
『特別室』の入口の上には、女性の他、珍しく男性も描かれている。
2人は、一体どのような関係なのだろう。
『ロマネ』は物思いにふける女性と目をつむった女性、バラや鳥が彫刻になっている。
この一枚だけで、物語が作れそうだ。
散策していて驚いたのは、通勤・通学の人々が、平凡な町のように通り抜けていく光景だ。
住んでいる人には、当たり前の光景なのだろう。
駅の近くにひっそりと佇む、古めかしいソープ街。
昼でもネオンが煌めく川崎堀之内とは対照的に、暗くなってもネオンを灯さない店が多い。
明るく照らして、独特な街並みを夜もアピールして欲しい。
岐阜の意外な一面を垣間見た。
2021年7月散歩
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