大阪駅から近い繁華街・京橋。
飲み屋やパチンコ店、夜の店など、いかがわしさが漂う街だ。
サウナなどが入ったグランシャトーは、令和になっても元気だ。
商店街の近くの細い道に、昭和の頃から続くラブホ『富貴』がある。
私は今回、3度目の探訪となる。
今回通された部屋は、「武家」という名前が付いている。
ドアを開けると、ひとりで「わっ!」と驚いてしまった。
屋内なのに瓦屋根があったからだ。
しかも、何ヵ所も並んでいる。
飛び石を進んで、さらに驚いた。
囲炉裏(レプリカ)があったためだ。
何という、情報量の多さだろう。
部屋の造りとしては、手前に囲炉裏を中心とした居間空間、奥にベッド空間、その間に飛び石、という配置だ。
居間空間は、高めの段差が付いている。
一角を瓦屋根の付いた壁に覆われている。
段差の下には、岩と小石を敷き詰めて作った装飾がある。
囲炉裏の中には小石が敷き詰められ、茶釜が置かれている。
囲炉裏の上の天井からは、それらしき魚の彫刻が吊るされている。
細部まで作り込まれている。
囲炉裏の横には、切り株のような木製のちゃぶ台が置かれている。
天板には、急須と湯飲みが入った入れ物がある。
瓦屋根の壁と反対側の壁には、鏡台がある。
引き出し部分は温かな木目調で、三面鏡は部屋のあらゆる所を映し出している。
居間空間を降りて、飛び石に戻る。
ベッド空間を隠すように、瓦屋根の付いた壁が配置されている。
その壁の天井からは、御簾が垂れ下がっている。
ベッド空間の入口には、木材を組んで作った門構えがある。
屋内にあるのがもったいなく感じるほど、本格的だ。
門を潜ると、ベッドにたどり着く。
瓦屋根の付いた壁は、装飾が施された鏡面になっている。
大阪城と、それを囲む森や花がモチーフとなっている。
ベッドヘッドの左右には、金色の車輪が付き、キラキラと光っている。
立方体をした和風の照明が、車輪を照らす。
木目調の板が、日本的な雰囲気を醸し出す。
ベッドに横たわると、奥の壁に設置された瓦屋根、潜った木製の門が見える。
壁にうっすら、木の模様が入っているのが分かる。
上の方へ目を移すと、鏡面になった空間と照明器具があるのに気付く。
4つの、紙風船のような形状の明かりが並ぶ。
居間空間もベッド空間も、たくさんの装飾があるにも関わらず、整然とした印象を受ける。
広々としているため、贅沢ながらゆとりを感じる空間になっているといえる。
今回は、日本的な装飾が惜しみなく使われた、豪華でゆとりある空間を訪れた。
このホテルはもう3度も訪れているが、また訪れたい気持ちは変わらない。
2025年4月探訪