日本一大きな湖・琵琶湖の西側には、雄琴(おごと)という温泉地がある。
雄琴は温泉だけでなく、特殊浴場(ソープ)の町としても知られている。
エリアへの最寄り駅は、JR湖西線のおごと温泉だ。
駅から湖方面に伸びる仰木雄琴線と、湖の南北を結ぶ高島大津線を歩くこと、約30分。
温泉宿やスパ施設『あがりゃんせ』が建ち並ぶ中、カラフルな『鎌倉御殿』の看板が自己主張する光景に出会う。
漢字四文字で本来は渋い雰囲気になるはずだが、赤・黄色・水色・ピンク色が使われているため、妙にポップだ。
雄琴のソープは、シルクロード、ゴールデンゲート、川筋通りの3本の通りに沿って並んでいる。
全部取り上げているとキリがないので、印象的な建物だけを紹介する。
シルクロードは、白い文字が貼られたゲートが特徴だ。
遠くからでも目立つ『鎌倉御殿』が、最も手前に位置している。
歩いていくと、気になるデザインの建物や看板に次々と出会う。
白くシンプルな建物の『マイウェイ』。
「選べる3コース・3倍の楽しさ」という、ピンク色・黄色・青の3色が、鮮やかだ。
その隣にあるのは、白地に赤の模様をちりばめ、窓枠も赤で統一した、『ラブ・ミー・ドゥー』。
「乙女は、夢を見て、恋に落ちる」という、少女漫画のようなキャッチコピーが書かれている。
『マイウェイ』と『ラブ・ミー・ドゥー』。
ある意味、フランク・シナトラとビートルズの夢の共演だ。
通りの奥の方に来た。
瓦屋根と茶系の壁で、伝統的な日本家屋を巨大化させたような浴場がある。
名前を『竜宮の城』という。
その隣には、白くてコンクリートそのままの建物がある。
屋上看板には『人魚の城』とある。
赤く先端がカーブしたフォント、のっぺらぼうながら人魚と分かるイラストが、古めかしくもメルヘンチックだ。
乙姫と人魚姫、どちらも海をモチーフにしたヒロインといえる。
ゴールデンゲートは、金色の文字が貼られたゲートが特徴だ。
紅白でおめでたい色合いの『丸の内商事』。
屋上看板は「OL」のロゴと「丸の内」の二種類だ。
建物にあまりオフィス感は感じられない。
ふた昔ほど前、丸ノ内のOLがもてはやされたのを思い出す。
平成レトロなセンスといえる。
隣には、城の天守閣を模した浴場がある。
名前は『俺の城』。
金屏風のような背景に勢いのある筆文字の看板が、少年向けアニメのロゴのようだ。
他にも、水色の壁に金色の装飾の『アラビアンナイト』もインパクトがある。
川筋通りにはゲートがなく、レトロなフォントの看板が目印となっている。
他の区画との境目であるかのように、大正寺川が流れている。
特に目立つと思ったのが、『クラブバニー』だ。
入口にはゲートがあり、カジノを思わせる。
建物は白い壁に黒い柱と塔で、西洋の城をモチーフにしている。
西洋の城をモチーフにしたラブホやソープは数あれど、この色遣いは珍しい。
さらに歩くと、『プルプルプレミアム』という水色の建物が見つかる。
アーチ状の装飾が、宮殿を思わせる。
外装だけでなく、屋上看板も忘れがたい。
少し上向きの顎を、指先で撫でる女性のイラストが描かれている。
口紅とネイルは赤色で統一され、肌は真っ白だ。
何とも言えない艶っぽさが溢れている。
雄琴のソープ街を訪れた。
湖は見えないがとても近いことと、温泉宿エリアの一角にあることが、雄琴の特徴といえる。
2025年7月散歩