
オフィス街、飲み屋街、また住宅街といった、多様な顔を持つ山手線の駅・五反田。
ラブホが集まるエリアは、駅の東西両方だ。

東側のホテル街は、繁華街の一角にある。
昼はしんと静まり返っている。

一方西側のホテルは、JRの線路沿いの道に並ぶ。
山手線の他、埼京線や湘南新宿ラインなども通るので、いつも轟音が響く。
まずは、東側へ向かう。

JRの東口を出て、国道1号を高輪台方面に歩く。

右手にすぐ、明朝体で「ホテル」と書かれたネオンのある通りが見える。
通りに入ると、先ほどのネオンが付いたホテルを見つけられる。

名前は『マーブル』という。
時代を感じるネオンとは違い、外壁は市松模様で新しく、窓の下にはリゾートホテルのような柵が付いている。
歩くうちに、ホテルがズラッと並ぶ通りに入る。
目立つ一軒は、『SARA Grande』だ。

建物全体が白く繊細な網で覆われ、ヤモリが所々を這っている。
何となくキラキラしている。
もう一軒目立つのが、『ジバゴ』だ。

窓と窓の間に日本的な柄のパネルが並び、モニターは泳ぐ鯉を映し出す。

案内看板には、「幕府ご解禁甘味徳政令発布中」という、意味は分からないが江戸っぽいフレーズが書かれている。

昭和のSFアニメのロゴを彷彿させるのは『ブルーシャトー』。
残念ながら、閉館したとの貼り紙がある。
どんな部屋だったのか、気になる。
次に、西側に移る。

JRの高架を潜ると、右手の線路沿いにY字路が現れる。

Y字路の右、つまり線路に最も近い道を進む。
珍しい建物を見つけた。

『ミント』『ピース』といったホテルと、『ハピネス東京』という風俗店が、一緒になった建物だ。

構造的には、1階が『ピース』、2階が『ミント』、3階以上が『ハピネス東京』となっている。
入口は左右に分かれているので、混同することもなさそうだ。

この通りの最後にあるホテルは、『ノックス』で、その奥にはポーラの本社がある。
『ノックス』の自動ドアを見て、思わず立ち止まった。

ドアのガラス面がオブジェになっていて、無数の泡が下から上に途切れることなく上っているからだ。
こんな瑞々しい自動ドアは、初めて見た。
ひとつ奥まった所にある『シーズ』は、1階とその上が別の建物かと思うくらい異なったデザインをしている。

1階は今風の装飾が施されている。
一方でその上は、アーチで囲まれた窓など年季を感じる外壁になっている。

五反田のホテル街は、昼は閑静な繁華街と轟音が途切れない線路沿いに、それぞれ形成されているのが特徴だ。
2025年10月散歩