気付けば、令和になってから数年が経っていた。
ふと、平成の終わり頃のことを思い出す。
平成が終わる前日、池袋のラブホ『チャリチョコ』にやって来た。
外観は、お菓子を連想させる。
店名の看板は、溶かしたチョコのような模様がベースとなっている。
外壁は大部分がパステルピンク、1階のみネイビーブルーで彩られる。
ドアは、ジェリービーンやペロペロキャンディーの写真が貼られ、鮮やかだ。
2階以上の壁は四角形にくり貫かれ、植物が生い茂っている。
部屋の扉を開ける。
入ってすぐ、「サーモンピンクだなぁ」と思った。
壁面と天井はその色がベースとなっている。
窓枠や壁の下部、天井との境目は白色の部材が使われている。
ピンクと白という膨張色が、空間を広く見せていた。
ベッドの脇には、椅子2脚とテーブルがある。
これらも、白でまとまっている。
椅子は一枚のプラスチックを折り曲げ加工して作ったもので、曲線的だ。
テーブルは丸く、小さめに作られている。
ベッドは壁の角にぴったりとくっついている。
クッションやベッドライナーは、明るいネイビーブルー。
ピンクや白を引き立てる、引き締めカラーだ。
そして、ベッドのスペースの壁を見て、思わず笑みをこぼした。
とてもファンシーなイラストが描かれていたからである。
クリームを高盛りしたカップケーキに、熱々のコーヒー。
プレゼントボックスや、花びら。
輪郭線は、サーモンピンク、ライトグリーン、ライトパープル、インディゴブルー。
彩り豊かな色で表現されたそれらが、薄ピンクのキャンバスに映える。
単純な線画なのに、立体感がある。
小規模ながら、平成の『Kawaii』文化を凝縮したようなラブホだった。
2019年4月探訪
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