京都市の南側に位置する伏見区は、坂本龍馬が襲撃された寺田屋や酒蔵などで有名だ。
商店街もあり、下町の風情も感じられる。
そんな伏見区にあるモーテル『シャルマン』が、リニューアルして『クロノス』となった。
まさに改装が行われていた2022年に訪れたことがあるが、改装後の姿は知らない。
再訪してみた。
京阪本線の中書島から徒歩約30分で、建物が見えてくる。
『クロノス』は遠くから見ても、奥行きがある建物なのが分かる。
「昭和レトロ ワンガレージホテル 関西最大級」と、レトロさをウリにしているのが以前と異なっている。
ダリの絵にありそうな、歪んだ時計がたくさん飾られている。
やはり人気なのか、8割ほどが埋まっている。
空室のうち、ベッドの形状に特徴のある部屋を選んだ。
階段を上りドアを開ける。
紺色が多く使われた、広い空間が現れた。
目を惹くのは、貝殻の形をした白いベッドだ。
手前に居間空間があり、奥にベッド空間が続く。
居間空間には、壁の色と揃えたソファ、ガラステーブルが置かれている。
それらとテレビの間に、円筒形のシェードで覆われたシャンデリアが吊るされている。
シャンデリアからはクリスタルの飾りが垂れ下がって、キラキラ光っている。
シャンデリアの吊るされた天井には、紺色と白色の市松模様が描かれている。
ソファとテーブルの上の天井には、ベージュの抽象的な模様が描かれている。
ベッド空間に進む。
壁の一部が窓になっていて、奥に彫刻の顔をカラフルに加工したイラストが貼られている。
両脇の神殿のような柱があるため、古代ギリシャの彫刻がモチーフなのかと連想させる。
ベッドは、部屋の角に佇んでいる。
普通のものよりずっと大きく見える。
特に、ベッドヘッドに付いた殻の部分の面積が大きい印象だ。
フレームとなる部分は白く、凹凸で覆われている。
ベッドライナーは、グレー地に黒の模様が描かれたデザインだ。
ベッドに横たわると、シャンデリアや彫刻のイラストがよく見える。
さらに上へと視線を向けると、鏡面になった天井と、ベッドから伸びる貝殻が見える。
イラストがカラフルとはいえ、上品な紺色と爽やかな白色が多く使われているため、まとまっていて落ち着いた印象を受ける。
また、貝殻ベッドは見た目のインパクトに反して、よい寝心地なのも分かった。
今回は、品のいい紺色の壁に堂々とした佇まいの貝殻ベッドが置かれた部屋を訪れた。
改装前の部屋の面白さを保ったままリニューアルされたラブホは、珍しい。
時間が取れた際には、別の部屋を訪れてみたい。
2025年4月探訪