湯河原と熱海は、東京から近い温泉地として知られている。

2つの温泉地を結ぶ国道135号線沿いに、モーテル『ファンタジア』がある。

馬車ベッドや貝殻ベッドなど、昭和ラブホファンを魅了する部屋で有名だ。
今回は、2年振り3度目の探訪だ。
湯河原駅からの道順を覚えていたので、徒歩で向かった。

人気洋菓子店『ちぼりスイーツファクトリー』があるサンサン通りを抜けて、海沿いの国道に合流する。
気付くと、冬なのに汗をかいていた。国道に入ってから、長い長い上り坂が続くためだ。

夕日が海を染める。初島の明かりが揺らめく。足を止めてその景色を眺めたいが、止まると足が痛くなる。
車が行き交う道を必死で歩き続け、たどり着いた時には汗だくで暑ささえ感じていた。

道順を知っていても、タクシーで向かった方がよさそうだ。

今回は、電話で宿泊予約をしておいた。(以前は休憩も予約できたが、2024年2月現在はできない。)
スタッフに宿泊料金を払い、ドアを開ける。

階段を登った先に、こんな部屋が現れた。

部屋を横切るボートに、たなびくハートの旗。甲板の縁を、ピンク色が彩る。

この部屋の名前は、『夕焼けのカリブ海』だ。

ボートの向かう先に見えるのは、夕日で赤く染まった港だ。たくさんの小さなボートが、水平線を向いて浮かんでいる。部屋の名前から考えて、中南米の港か。

ボートの後ろ側の壁には、青い装飾の板が貼られている。壁紙は、茶系の抽象的な模様でまとめられている。

壁の一角には、船のハンドルを使った照明器具がある。電球を包むガラスには、船で使われていそうな縄がかけられている。

ボートの脇には、赤い布貼りの椅子が並び、イカリマークのクッションが乗っている。
ボートベッドの先端部は、観察すべき点が多い。

Vを描く部分には、手すりが付いている。キラキラしたモールの飾りが、パーティーのようだ。

手すりが固定された縁は、目を惹くピンク色になっている。

Vの内側には、旗が立つ。三角形の旗に、ピンクのハートが描かれている。

旗の近くで、ボーダーTシャツを着た白くまが、寝ている。

旗とヘッドボードの間には、ハンドルがある。カラフルな花が、ハンドルの中央を彩る。

赤いヘッドボードとピンクの枕が見え、ベッドであることを思い出す。
ボートベッドに横たわる。

天井に、ボートのシルエットを描く鏡が埋め込まれている。2つのクローバーが、鏡に遊びを加えている。

茶系の壁紙が、暖かさを演出する。
さらに、うつ伏せになってみる。

ボートの先端と夕焼けの港が、立って見ていた時よりも近く見える。
今にも、異国の海へと吸い込まれそうだ。
この部屋は浴室もまた、普通ではない。

壁は、赤・オレンジ・黄・黄緑・緑と、大胆なグラデーションとなっている。

浴槽は、大きな楕円形で、ギザギザ模様を描く。底は、洗い場の床よりも低くなっている。

大きな風呂で温まり、ボートベッドに毛布を敷いて布団をかけ、目を閉じる。
気付くと、夢へと舵を切っていた。


今回訪れたのは、ボートベッドが置かれ船のモチーフが散りばめられた部屋だった。

ファンタジアは、東京から遠いため、頻繁に訪れるのは難しい。
それでも毎回、「また定期的に来よう」「次はどの部屋にしようか」と思わせる、魅力的なホテルだ。
2024年2月探訪