
大阪の京橋の東側には、趣深い商店街が伸びている。
同じく大阪特有の趣きがある難波や新世界と異なり、観光客はほとんどいない。
知る人ぞ知るエリアといえる。

そんな京橋には、約半世紀に渡り愛されているラブホ『富貴』がある。
このホテルには何度か訪れている。

どの部屋も、異なった雰囲気と手の込んだ装飾があり、飽きさせない。

フロントで空室を聞いたところ、富貴にしてはシンプルな造りの部屋のみが空室と返答をもらった。
その部屋を選び、エレベーターで3階に向かう。
少し奥まった所にあるため、入り組んだ廊下を歩く。

辿り着いた部屋のドアには、金の女神の装飾が貼られている。
羽を大きく広げて笑う姿が、開放感をもたらす。
ドア横の革張りの緑色と薄い茶色の装飾が、つやつやに光っている。
ドアを開け、メインルームを見つける。

居間と寝室が横に並び、奥に装飾の空間がある、和室だ。
居間も寝室も、畳敷きでつながっている。

居間空間には、ちゃぶ台と座布団が置かれている。
左側には、テレビ台とハンガーラックが並ぶ。

天井からは、4個の直方体で木の板の飾りが付いた照明器具がぶら下がる。
居間自体は簡素だが、奥の装飾が彩りを添える。

床には無彩色の砂利が敷かれ、灯籠や観葉植物、小さな岩が並ぶ。
奥の壁の鏡が、灯籠の存在をさらに強調する。

灯籠はぼんやりと明かりが灯り、部屋を見守っているような感覚を受ける。
寝室空間と居間空間の間に扉はない。

代わりに、白い木枠が寝室への入口を表している。

ベッドは低めで、落ち着いている。
白いカバーに包まれた布団が、昔ながらの寝具を思わせる。

ベッドからは、居間にあるものとお揃いの照明器具が見える。

下からは、オレンジ色の家紋が目立って見える。
照明器具のある部分だけ、木目調の板張りなのも凝っている。

居間の奥の空間と同様、ベッドの奥の空間にも装飾がある。
こちらは、木の板で模様が描かれた窓カバーが目を惹く。

なお、ベッドからは横向きで居間のテレビを見ることができる。
灯籠などがあり凝った部屋でズボラに過ごすのは、贅沢な使い方といえる。

今回は、コンパクトながら灯籠の存在感がある、畳敷きの部屋を訪れた。
富貴特有の世界感が、小さめの部屋に凝縮されている。
大阪に来ることがあれば、またこのホテルを訪れるつもりだ。
2026年3月探訪