レジャーホテルが好きすぎる弁理士女子のブログ

性教育の教科書みたいな博物館! 渋川伊香保(群馬)『命と性ミュージアム』~珍スポットを巡る~

群馬の2大珍スポット

とある休日に、渋川伊香保の性をテーマにした博物館2ヶ所を訪れた。

『命と性ミュージアム』と『珍宝館』だ。

東京から、高崎線と吾妻線を乗り継いで、およそ3時間。
JR八木原駅に着いた私は、駅前を見渡した。


タクシーが一台もない。そもそも人がいない。
時刻は12時を回っていた。
(早く行きたいのに!)

Googleマップで道順を確認する。
「徒歩60分」とスマホの画面に表示されていた。
(なんだ、歩けるじゃん)
駅前の通りを、山に向かって早足で進んだ。

1時間後。
直射日光と登り坂で汗だくになっていた私は、遂に見つけた。


『命と性ミュージアム』である。

入る前からツッコミ所満載


シンプルな四角い建物だが、周囲には奇妙な石像が置いてある。

まず目に付いたのが、全裸で座ったムキムキの男性像だ。


続いて、頭と腰から下のみ布で覆われた女性像。

他にも裸像が何体かある。


一番異様だったのは、左に男性器が、右に乳房と女性器が型どられ、違和感なくくっついた石像だ。安定していて、座ることも可能に見える。
何とも不思議な、命の神秘を感じさせるオブジェである。

「性に興味のない人 曲がった解釈をする方は 気分を損なう事がありますので入場しないで下さい。」
ハートマークの注意書きがあった。
「生まれてから地球にサヨナラするまでの人生のドラマ館 命と性の情報館です」
ドアに張り紙があった。
入る前から懇切丁寧である。

謎の受付男性

「いらっしゃい」
扉を開けると、受付の男性が立っていた。
白髪でがっしりした、ダンディーな中年男性だ。
チケット(1000円)を買うと、男性は耳を疑うようなことを勧めてきた。
「もし希望なら、緊縛もやってるよ。私、綺麗に縛れるから。
ほら、こんな風に」

※イメージ


見せてきたのは、縄が食い込んだ裸の女性の写真だった。
少し見ただけでも、縄の張り巡らせ方が細やかなのが分かる。

緊縛よりも展示に興味があった私は、順路を進むことにした。

シリアスとユーモアが隣合う空間


「命  掛け替えの無いものなのに 性 明るく楽しいものなのに」
まず見つけたパネルは、現代社会への憂いを訴えていた。
「貴方はどうお考えですか?」

そんなシリアスなパネルの反対側に、大きな男性のシンボルが置いてあった。
青いライトに照らされて、浮き出た血管が強調されている。
扇情的というよりは、笑いを誘うオブジェである。

『命と性ミュージアム』は、全部見て回るのに2時間もかかった。
そのため、印象に残った10か所だけを紹介する。

貴方はどうしてここにいるの(みどころ1)


子供向けに、赤ん坊は膣から出てくることや、性器の部位名を説明したパネルである。
「性器は汚いもの、恥ずかしいものではありません。」
当たり前のようでいて、忘れてしまう事実だ。

この付近には、膣から小さな頭と手が飛び出したオブジェがあった。
赤ん坊の、朗らかな笑顔と親指を立てた右手が面白い。
「『百聞は一見に如かず』との思いで造形展示中です。」

自慰は将来のSEXのためのウォーミングアップ(みどころ2)


思春期の、男の子だけでなく女の子にも向けた自慰の勧めが書いてある。
「女性に性欲が起こるのは自然現象で男性同様自慰を楽しまなくてはもったいない」
全くその通りだと思う。
「こんなに性的な妄想して、異常かな」と悩んでいた中学時代の私に言ってあげたい一言だ。
そもそも性教育の教科書に、女の子の自慰の記載がなかったのが変なのだが。

親の責任で子供の幸せを……産み分け「90%の確率」(みどころ3)


男女の産み分けについて学ぶコーナーだ。
その方法に驚いた。
「激しいSEXは男の子」「あっさりSEXは女の子」だという。
「深く挿入」し、「膣内をアルカリ性にしてから射精」すると男の子が生まれやすくなる。
一方、「浅く挿入」し、「感じないうちに酸性の内に射精」すると女の子が生まれやすくなる。
結婚したら、役に立ちそうな知識である。

セックスは健康寿命を延ばす!!(みどころ4)


性行為を楽しむためのコツが書かれたパネルだ。
「名器とは 程よいところでエクスタシーを感じ、締め付けるごとに男性器を引っ張り込むことが出来ます。締め付けることが出来ても吐き出し締めは名器とはいえません。」
「名刀とは 女性器を浅く深くかき回し子宮を突きエクスタシーに導かせることの出来る男性器を言います。その前に”刃こぼれ”するようでは名刀とは言えません。」
名器・名刀になるのは、なかなか厳しいようだ。

健康寿命を延ばす食材のイラストが載っていたが、食材ではない何かに見えるのは私だけだろうか。

性感帯を知る、性欲と反応(みどころ5)

性感帯の位置やどう触れればいいのかなどが図解となっていた。
また、性欲と絶頂について曲線グラフがあり、「山型」「高台型」「丘型」など5つの類型に分けてあった。

避妊の知識(みどころ6)


これこそ、全人類が知るべき知識である。
「『膣外射精 』が簡単で確実な避妊方法だと思っている人がいますが、これは大きな間違いです。クーパー腺から出る潤滑液の中にも精子が含まれています。」
ネットで性の情報を簡単に入れられる現代でも、この知識を知らない人は多い。

女性用コンドームが展示されていて、初めて見た。
挿入の仕方は、タンポンのそれに似ている。
日本で再び販売されるようになったら、使いたい。

パートナーと楽しむ中高年の性(みどころ7)


中高年になっても、夫婦で刺激的なことをして、強い絆を持とう、というコーナーだ。
「混浴露天風呂に行ってみよう!」「シークレットパーティーに行こう!」「性感マッサージに行ってみよう!」「カップル喫茶に行ってみよう!」といった提案が面白い。

「夫婦円満の字はこうしてできた?」では、円はそそり立つ男性器の、満は子宮・膣と膣に入った男性器の象形文字だという。
本当かなあと疑いつつ、ニヤッとしてしまった。

SMとSMプレイのちがい(みどころ8)


ロフトになった2階へと登る。
「靴を脱いで下さい。パンツは脱がないで下さい」と注意書きがあった。
1階とは打って変わって、妖艶な雰囲気を醸し出している。


ボンテージを着たマネキンがそこかしこに置いてあったり、女王様とM女を描いた人形が飾ってあったりした。

その中で、「SMとSMプレイのちがい」というパネルがある。
SMは、「性交や恋愛感情が全く無い」ものだという。
SMプレイは、「SMを真似して性感を楽しむ」ものだという。
要するに、本格的なものとソフトなものがあるよ、と言いたいのだろう。

スワッピングルーム(みどころ9)


二つのダブルベッドを、マジックミラーのある壁で隔てた空間である。
「ほら、こっちからは見えるよね。でも、こっちに来ると見えないんだ。
警察の取調室みたいでしょう?」

※イメージ(館内にはマネキンが多くある)


先ほどの受付の男性が、得意げに解説してくれた。
ここでどんなイベントが行われるのだろうか。

性の談話室(みどころ10)


赤いじゅうたんに、ちゃぶ台が置かれ、後ろには春画や性器モチーフの人形が並んでいる小部屋である。
夫婦やカップルが性の話をするための空間らしい。

注目すべきは、校訓のように壁にかかった「いのちとせい」のあいうえお作文だ。
い「生かされる 夫婦とりもつ ミュージアム」
と「年じゃない サロンで癒され 納得し」
等々、希望に満ちた川柳から成り立っている。

赤い縄で縛られたぐんまちゃんもいた。可愛いような卑猥なような……形容しがたい。

『命と性ミュージアム』の感想

館内には、様々な性教育の情報があった。
そして、多くのパネルに共通しているのが、「潔癖なまでに正しい性の情報を隠す社会でいいのか?」という訴えだ。
この問題提起を、もっと多くの日本人に知ってほしいと思った。

2018年9月探訪

公式サイト:

http://inotitosei.jp/

実に濃厚な時間だった。
しかし、これで終わりではない。
坂道を登った先には、更なる奇妙な博物館『珍宝館』が待ち受けていたのである。

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