レジャーホテルが好きすぎる弁理士女子のブログ

昭和のアダルト遊園地!『熱海秘宝館』~珍スポットを巡る~

深夜アニメで秘宝館を知る

秘宝館とは、性を題材にした娯楽施設や博物館のことである。

私がそれを知ったのは、2015年に放送されていた深夜アニメ、『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』だ。
卑猥な表現が全面的に禁止された近未来の日本で、正しい性知識を人々に広めようと奮闘する高校生たちの物語だ。
最終回で、主人公たちは温泉地の秘宝館を訪れる。
廃墟と化した建物の中にあったのは、たくさんのエロティックなオブジェだった。
吹き出してしまったのは言うまでもない。

後にネットで検索したところ、モデルとなった秘宝館が熱海に存在することが分かった。
そして2018年、決意に至った。
一人旅デビューのついでに、秘宝館に行っちゃおう、と。

熱海秘宝館までの珍道中

寒い風が吹く2月某日、私はJR東海道線の熱海駅に降り立った。
バスターミナルで列に並ぶも、なかなか来そうにない。
タクシー乗り場へ行ってみる。一台がドアを開けた。
一体いくら取られるのだろうと心配しつつも、乗り込んだ。

ドアが閉まると、私は行き先を告げようとした。
「え~と、熱海……」
そこで声が出なくなった。急に恥ずかしくなったのだ。
タクシーの運転手に行き先が告げられないなんて初めてである。


私は事前に調べた観光情報を思い出した。
確か、近くに熱海城があったはずだ。そこなら何らおかしくない。
「熱海城まで、お願いします」
「はい」
念のため、聞いてみた。
「山の上にあるんですよね?」
「山の上にあります」
間違いない。秘宝館はロープウェイの山頂にあると公式サイトにあったからだ。

タクシーは温泉街をくねくね曲がりつつ下る。
旅館や保養所がたくさんあった。
しばらくして、海が真横の自動車道路に出た。

壮大な太平洋に、シルエットが美しい初島。
綺麗だなあと見とれていると、ある所で曲がり、山の上に続く道路を走り始めた。

急勾配の道を、タクシーは猛スピードと急カーブで登っていく。
「熱海城」「トリックアート迷宮館」と一緒に、「熱海秘宝館」の看板もあった。
(うわ、本当に来ちゃったのね…!)

不思議な感覚に浸っていると、それらしき建物を通り過ぎた。
「あ!もうこの辺りでいいんで!」
焦った私が告げると、熱海城の近くで運転手はブレーキを掛けた。
運賃のメーターに表示された額を払って降り、急な坂を徒歩で下る。
どぎつくて古めかしい「秘宝館」のネオンが見えてきた。

入口からして淫靡な熱海秘宝館

早速、豊満な胸を露出した人魚が迎えてくれた。

ウイーンとドアが開く。
まず目が行くのは、壁に張られた有名人のサインだ。
少し奥まった所の壁には、古代のレリーフのようなものが張られている。
よ~く見ると、様々な体位で励む男女の姿なのが分かる。

そして、ツッコミ所満載なのが、案内看板である。
「究極のハイテク夢空間」
笑いをこらえ、チケット窓口に進んだ。
チケット代は1700円だ。
そこから先は「撮影禁止」とあった。

(展示物を全部書くとキリがないため、印象に残ったコーナーを10ヵ所記録しようと思う。)

おみくじ堂(みどころ1)

コインを入れると、巫女さんがおみくじの紙を持ってしずしずと現れる。
白装束に赤い袴だ。
「こぉんなの出ましたぁ~」と、甘ったるい声で丸まった紙をこちら側に転がす。

くるっとUターンして驚いた。
巫女装束の後ろはほとんど布がなく、お尻丸出しなのだ。

おみくじの結果は小吉。
「こたつ隠れ」という体位がお薦めの体位らしい。「こたつの中で行う体面座位」だと説明があった。

浮世絵コーナー(みどころ2)

春画がたくさん掲示された空間だ。
展示された絵に合わせた男女の会話や喘ぎ声がスピーカーから流れてくる。

例えば…
「(ナレーター)これは、不倫のカップルかな。
(女性の声)ああん、お前さんの奥さんが羨ましいよ。こんな立派なもの持っててさ。ウチの主人なんか、不細工だし、イジワルだし、お道具は細くて短くて……何の取り柄もないのよ。ああん……
(男性の声)そんなこと言ったって、何か一つくらいは取り柄があるだろうに」

何パターンもあるが、どれも熱っぽくて粋な演技だ。江戸落語の艶笑噺の世界を見事に再現している。

コレクションコーナー(みどころ3)


時代劇のような雰囲気の四十八手フィギュア、大奥で使われていた双頭ディルド、古代ローマのまぐわう男女の人形、女性と野犬が交わる様子を描いた日本画、アフリカのペニスケース等などが飾ってあった。

古今東西の性事情が何となく学べる、アカデミックなコーナーだ。
さりげなく最近のアダルト玩具が一緒に飾られている。

シーサイドマンション秘宝館(みどころ4)


あらゆるシチュエーションを再現したミニチュアである。

二次元美少女の抱き枕を股間にあてがってにやつくオタクがいる「美少女オタクの部屋」、ドアを開けたら両親が愛の営みをしていて、びっくりしてしまう女の子を描いた「小さな侵入者の部屋」というのは現実的だ。

しかし、ベッドが回って目を回すカップルを描いた「回転ベッドの部屋」、全裸の男性を的に、女性が輪投げをしている「輪投げの部屋」はあり得ない状況だ。
眺めていて、頭が変になりそうだった。

覗き眼鏡コーナー(みどころ5)


眼鏡型の窓を覗くと、ショートムービーが観られるコーナーだ。

5種類あるが、恐ろしく低画質である。いつ撮影されたのだろう。
ショートムービーの一つは、ナースの女性が登場する。
「あら、熱があるわね。お注射しましょう」
後ろを向き、パンティを見せつける。
注射器が向けられる。
「私じゃないわよぉ~ん。ああん、お注射してぇ~ん。ぶっといのしてぇ~ん。」
注射器から白い液体がピュピュッと出る。
「いやぁ~ん!早いのは、いやぁ~ん!」

もはや何と感想を述べたら良いのか分からない……。

幻想ミラー(みどころ6)


鏡を前にして椅子に座ると、鏡の中に不思議な映像が流れるコーナーだ。
私が座った時には、ピンクのメイド服を着た女性が現れた。

「おかえりなさいませ、御主人様ぁ」等と言ったかと思いきや、彼女はエプロンを取り、ドレスの上を脱いで乳房を晒し、ドレスを下に降ろした。
そして、「これも脱ぐんですかぁ?」と切なげに言うと、パンティを降ろし、なぜか股の部分がピカーンと光った。
そこで幻想は終わった。
私は何を見せられていたのだろう。

他のバージョンも「???」となるような18禁の映像だった。

モンロー(みどころ7)

「秘宝館前」と書かれたバス停の前で、「うふ~ん」とでも言いそうな表情の金髪美女がこちらを見ている。
もはや説明不要、伝説の女優マリリン・モンローである。

展示してあるガラスのこちら側には、風を起こせるハンドルがある。
これを、ありったけの勢いで回してみた。
すると、長いドレスの裾が下からまくれ上がり、白いレースのパンティと小さな布に収まった陰毛がハッキリと見えた。
「上手なのね♡」というセリフ付きだ。

映画の1シーンがこんな形で独り歩きするとは、本人も思っていなかっただろう。

貫一お宮(みどころ8)


熱海が舞台の小説『金色夜叉』。

貫一とお宮が別れるシーンを再現したコーナーである。

しかし、お宮は着物が透け透けだし、貫一は黒いマントから小~さな男性器がチラ見えしている。
「貫一のアレが小さすぎて、お宮は別れたのではないか」という説明書きがあった。

乳首の形のボタンを押すと、ガラスの向こうから会話が聞こえてくる。
例えば…
「(可愛い声で)貫一さん、見えてますよ。
(汚い声で)ちいせえのが、な。
(可愛い声で)しまわないと、風邪ひきますよ。
(汚い声で)見せる程のもんじゃないだろ」

表の声と裏の声が違いすぎる。
お宮はそんなに性格が悪いのだろうか。

新説浦島太郎(みどころ9)


浦島太郎をアダルトにした映像である。
いや、安っぽいAVと言った方が正しい。

ストーリーはこうだ。
浦島太郎はある日、亀の頭を膣に出し入れして楽しんでいる未亡人達を見つける。「亀をいじめるのは止めて、僕の亀で楽しんでくれ」と、未亡人とまぐわって満足させる。
助けられた亀は、浦島太郎を竜宮城に連れて行き、乙姫様や、雌のタイ、ヒラメと延々と性交する。気付けば100年が経っていた……

棒読みのセリフに、CGで作られた雑な背景、そしてひたすら続く性行為のシーン。
性描写のある映像を観てあくびが出たのは初めてだった。

珍説一寸法師(みどころ10)

一寸法師のその後を描いた劇だ。
お城で姫と暮らす一寸法師は、夜になるとミクロサイズに戻ってしまうが、それでも愛の営みに励む。
毎晩激しく愛し合う内に、小さな小さな赤ん坊が4人も誕生する。

一寸法師は、顔を女性器に突っ込んで溺れそうになりつつ、「あ~んいいわあ~」と姫を感じさせる。
そして、身長の半分もある男性器を姫に挿入させる。

入っていく時、妙にカッコいい80年代調のBGMだったので笑ってしまった。
4つ子が生まれる時は「ポンッ」という小気味いい音だったのも可笑しい。

秘宝館のお土産

お土産コーナーはアダルトグッズが多い。
私は「観光地のお土産」らしいものが欲しいため、探した。

金色の男性器をモチーフにした「開運珍々カード」を購入した。

出口のドアを抜けると、ロープウェイの山頂駅があった。
こんなに淫靡なロープウェイの乗り場は、他にないだろう。

熱海秘宝館の感想

熱海秘宝館を訪れて、気づいたことが主に3つあった。

1つ目は、建物を出てもしばらくは「あぁ~ん」「いやぁ~ん」という声が脳内にこだまする、ということ。
特に、「いやぁ~ん」というのは独特だ。
「気持ちいい~」と言っているようなものだ。
熱海秘宝館の展示物は、のびのびと性を楽しむ女性を描いているのだ。

2つ目は、案内看板の通りハイテクとも言えるが、そうでもないとも言える、ということ。
幻想ミラーはどういう仕組みで鏡にだけ映像が流れるのか分からなかった。ハイテクである。
しかし、除き眼鏡の部屋で観た映像はVHS、それも擦りきれたような画質だった。ハイテクさの欠片もない。
もっとも、最新技術を体感しに来たのではないため、ある意味どうでもいいことだ。

秘宝館を出ると絶景が待っていた

3つ目は、意外と若者が多くいた、ということ。
中高年が多そうと想像していたが、実際は学生や20代、30代がたくさん訪れていた。
男女比は半々くらいだ。
秘宝館にいる間、同性同士のグループ、男女混合のグループ、カップルを見かけた。
全く見かけなかったのは、外国人と一人客だ。

おまけ 熱海城の『浮世絵・春画展』


そして、おまけがこちら。

熱海城で、「浮世絵・春画展」をやっていた。
熱海の人はどれだけスケベなのだろう。

春画の世界は奥が深い。
どれも、男性器はむやみに大きく、女性器はやたらにヒダヒダを強調して描かれている。
普通のセックスを描いたものから、複数人が登場するもの、タコと女性の絡み等の絵があった。

変わった所では、コトを終えてちり紙で性器を拭くカップルの絵、火事になっているのに気づかずに励む男女を火消しが避難させようとする絵も飾られていた。

一番驚いたのが、2枚でストーリーになっている春画だ。
1枚目は、座位で交わるカップルが上半分に描かれた絵である。見事に屹立した男性器だ。
それだけなら他の絵と同じだが、下半分がすごい。様々な動物の交尾が表現されているのだ。
カラス、トンボ、ヘビ、ノミ等がつがいで絡んでいる。笑うしかない。

2枚目は、上半分が大きく変わる。
立派だった男性器が、萎んで皮を被っている。男性は浮かない表情だ。
力を失った男性を取り囲む女性達が、それを指差したり嘲笑ったりている。
「老いの哀しみを表現した」絵だと説明があった。
いつの時代も、精力とは切実な問題なのだなぁとしみじみ思った。

初めての一人旅は、秘宝館と春画展という強烈なインパクトを残したのだった……!

2018年2月探訪

公式サイト:

↓熱海秘宝館

https://www.atami-hihoukan.jp/

↓熱海城

http://atamijyo.com/sp/

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