小田原は、神奈川県西部の城下町として栄えた町だ。箱根温泉の玄関口でもある。
小田原から箱根登山鉄道でひと駅先の箱根板橋には、ラブホ街がある。
登山鉄道の踏切を渡り、早川に架かる大窪橋を渡る。
左手では、新幹線が高速で通過していく。
駅名に「箱根」と付いているが、温泉街ではなく住宅街だ。
閑静な宅地を少し歩いて、車の往来が激しい大通り「一夜城下通り」に出る。
夢庵やすき家などのチェーン店が並ぶ。
干物の販売店もあり、香ばしい匂いを放っている。
一夜城下通りを風祭方面にしばらく歩くと、派手な色合いの建物が見えてくる。
『トゥインクルはなふじ』というラブホだ。
オレンジ色のゲート、ピンク色の模様のある壁、赤い屋根。
車で通過しても、目を惹きそうだ。
雑草が伸び放題なことから、今は営業していないのが分かる。残念だ。
その隣りには、背が高めのホテル『フーガ』がある。
壁は白く、ベランダらしき突出した部分だけがベージュに塗られている。
ゲートの両脇には、ヤシの木がある。
看板には、「安〜い、きれ〜い、広〜い、便利〜い」と、脱力感のあるアピールが書かれている。
このホテルは、箱根登山鉄道からも見つけることができる。
大通りから、静かな通りに入る。
『愛花夢』(アイカム)は、青い囲いと赤い壁面という、原色2色使いのホテルだ。
窓枠を囲む部分が、妙に分厚い。
ゲートは青く、階段のような形を描く。
後ろには、壁のような石垣山がそびえる。
景色のギャップを感じる。
『ナイト』は、入口が一ヶ所のみのモーテルだ。
オレンジ色の壁に囲まれている。
建物も、壁とお揃いのオレンジ色だ。
よく見ると、ガレージのカーテンも同じ色だ。
白と黒のモーテルは『アボロ』。
アポロではなく「アボロ」だ。
スペイン語で「凹み」を意味する。
ゲートの左側は、屋根は西洋瓦、窓は半円形で観音開き、というデザインだ。
ゲートの右側は、羽ばたきそうな鳩や飾りに囲まれた人の顔のレリーフが、何とも言えない雰囲気を醸し出す。
これら五軒は密集しているが、少し離れた所にもラブホがある。
名前は『X』だが、入口にはホテル名の看板がなく、料金表だけ掲げられている。
駐車場かと思いきや、小さなスペースに謎のオブジェが置かれ、「パワースポット 風のひろば」「癒し」と示されている。
何だろう。とても気になる。
小田原のラブホは、一夜城下通りと石垣山に挟まれたエリアに、さりげなく並んでいる。
箱根温泉の定番観光に飽きた人に、おすすめの散歩スポットだ。
2024年5月散歩