とある日曜日の昼下がり。
フロントで前払いし、客室のドアを開けて奥へ進む。
そこには、艶やかな世界が広がっていた。
ベッドに敷かれているのは、黒い布にピンクのフリルがたくさん付いた上掛け。
フリルは何段にも重なり、ネオンのように光って見えた。
クッションもショッキングピンクで、フリフリだ。
ソファにも同じクッションが乗っている。
こんなファブリックは初めて見た。
ベッドの上にある引き戸の一枚には、黒地に紫のレースとバラが描かれている。
また別の一枚は、紫の抽象的な絵で彩られている。
ベッドの足下に目をやると、紫の明かりで浮かび上がる、細長いショーケースがある。
レースのリボン、
バラの花のオブジェ、
ベネチアンマスクが飾ってあり、
花びらやパールが妖艶さに拍車をかけている。
部屋を照らすのは、シャンデリアだ。
照明は調整ができ、明るくすることもできれば、官能的な赤紫色にもなる。
光を反射する壁の一面はタイル貼りで、花が表現されている。
テレビのある壁は、宝石を上や横から見た絵のパターンになっている。
どこを見てもきらめきに溢れている。
ガラステーブルの下を見ると、こんなアートがあった。
ビスチェが、赤紫の羽根や青紫のアクリルアイスに囲まれている。
黒地に白いリボンとレースが映えるビスチェは、ドレスの上から付けるものと思われる。
後ろはおそらく、編み上げになっているだろう。
この部屋の突き当たりの壁には、ゴスロリ調のワンピースが飾ってある。
赤と白のコントラストが眩しいもの、
裾が複雑な形状のピンクのもの(ボンネット付き)、
そして胸元のリボンが特徴的な水色のもの(リボンカチューシャ付き)の3着だ。
部屋の角には、人がひとり入れる大きさの、鏡貼りの空間がある。
ここで、ゴスロリワンピースに袖を通して姿を見ると、楽しそうだ。
怪しくきらびやかで、少女趣味でもある空間。
だが、そこで私がしたことは、VODの『プロジェクトA』を観ることと、冷凍の大きなおにぎりを食べることだった。
雰囲気に似合わない使い方をしてしまった。
それはともかく、細部までこだわりのある客室は、素晴らしいの一言に尽きる。
2020年9月探訪
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