愛知県小牧市では、毎年3月15日に珍しい祭りが行われる。

田縣神社の豊年祭だ。
豊年祭は、五穀豊穣と子孫繁栄を祈願する祭りだ。

見どころは、檜で作られた、直径60センチ・長さ2メートルの男性器形の神輿だ。
神輿は「大男茎形(おおおわせがた)」と呼ばれている。
2026年はお祭り当日が日曜日に当たったので、訪れることにした。

昼の12時頃、名鉄小牧線の田県神社前に到着する。
単線のローカルな路線の駅とは思えないほど、賑わっている。
降りた人々は皆、同じ方向に歩いていく。

田縣神社の境内では、屋台が並び、子どもからお年寄りまで様々な年代の見物客が行き交っている。
半分ほどが外国人だ。
まずは屋台でグルメを堪能する。

「珍宝参」という、ソーセージとチーズを小麦の厚い生地で包んで焼いたものを選んだ。
見た目は、こんがり焼けた男性自身のお菓子といえる。
ソーセージは棒の部分に、チーズは玉の部分に、それぞれ包まれている。
生地はふわふわで少し甘く、ソーセージの塩味やチーズの旨味を引き立てる。
小腹を満たすのに丁度いいサイズと味わいだ。
神輿行列が神社に来るまでには、まだ時間がある。
境内でお参りすることにした。
お参りする箇所は、本殿・奥宮・珍宝窟の3か所だ。
中でも、奥宮は木彫りの男性自身があるため、必見だ。

奥宮への列に並んで進むと、横に男性器と女性器の形状の石が見えてきた。
男性器の石は斜め上を向き、女性器の石も斜めになっている。
お賽銭を入れて、二礼二拍手一礼をして、目を開ける。

艶のある木製の男性器が、参拝客を笑顔にする。
境内では、性器の形の石だけでなく、玉垣にも注目せざるを得ない。

本体の上部に、男性自身の先端にしか見えないパーツが乗っているためだ。
通常なら目に留まらない玉垣さえも、この神社では独自の雰囲気を漂わせている。
境内では、行列を見るための場所取りをする人々が増えてきた。
気づくと、周りに見物客が集まり、スタッフがロープで立ち入り可能なラインを仕切っていた。
よく晴れた空には、新聞社のヘリコプターが旋回するのが見える。

午後3時頃、行列が神社に到着した。
厳粛な笙の音が響き渡る。

大きな榊に続き、古めかしい男性器の絵が描かれたのぼりがはためく。

「御輦(ぎょれん)」と「御前御輿(ごぜんみこし)」がその後に続く。

神社で奉られている玉姫命(タマヒメノミコト)が納められた「御前御輿(ごぜんみこし)」は、男性達の掛け声に合わせ、大きく回転した。
そして、見物客が皆スマホやカメラを掲げる神輿が、境内に入ってきた。

大男茎型だ。
櫓から先端と根元がはみ出し、滑らかな曲線を描いている。
日に照らされて、先端が光っている。

一旦地面に下ろされた後、ホイッスルが鳴り、男性達が再び神輿を担ぐ。
「回せぇぇ~!」合図とホイッスルの音と共に、神輿が大回転する。
「うおおお〜!」担ぐ男性達が、絶叫しつつ神輿を回す。
木彫りの男性自身の360度が、人々の目にさらされる。
見ている人々も、「おおお〜!」と歓声を上げる。
静かだった神社に、熱狂が巻き起こる。
神輿行列が全て神社に着いた後、境内の別の場所で餅まきが行われた。

櫓に、紫のハッピを着た地元の有志、白い装束の厄男、赤い装束の還暦男が並ぶ。
餅まきでは、直径約10cmの円盤型の餅が櫓から投げられる。
投げるというより、飛ぶといった表現が正しい。
「お子様、お年寄りの方は、前の方に来ないで下さい」といった注意の説明の後、「餅まき、始め!」の号令がかかる。

号令がかかるや否や、餅が放物線を描いて飛ぶ。
ほとんどは櫓の付近にいる人の元に落ちるが、空高く舞った餅が遠くの方に落ちてきたり、屋台の屋根に直撃したりと、スリリングな事態も起こる。

私は受け止める気は全くなかったが、ふとした瞬間に肘で餅を受け止めることができた。
直径もさることながら、厚みもあるのが分かる。
飛んでくる餅にはハラハラしたものの、ラッキーな気分になった。

豊年祭は、男性自身モチーフのグルメや木像・石が楽しめて、元気な神輿に熱狂するお祭りだ。
昨年は生憎の雨だったので、晴天の下で神輿を見ることができて幸運だった。
次に祭りの日が土日に被るのは何年も後だが、その時はまた訪れたい。
2026年3月探訪