私は、ラブホの建物デザインを趣味で研究している。
外装や内装をカメラに収め始めて、写真は1000枚以上になった。
先日、初めて撮ったラブホ写真を見つけた。
2005年秋、車道を挟んだ歩道から撮影したものだ。
横浜市南部の、バス通り沿いにあった。
ある日の夕方にやって来た私は、二つ折りの携帯電話を取り出す。
カメラモードにして、右手でボタン側を持ち、左手で画面側を支える。
画面には、夕日に照らされたラブホが映る。
シャッターボタンに、右手の親指をかける。
(こんなことして、通行人に変な子だと思われないかな?)
緊張で手が震える。
何とか呼吸を整え、ボタンを押した。
当時、私は13歳にしてラブホに関心を抱き始めていた。
きっかけは、路線バスで定期的に通る道の、ホテル街だ。
初めはラブホだと気付かなかった。
しかし、「ビジネスホテルや旅館とは何かが違う」と違和感を覚えた。
いつしか、そのエリアのホテルはカップル向けの特殊なものと知る。
バスで通る度に、一つ一つのホテルをじっと見つめるようになった。
写真のホテルは、ベージュの壁、ストライプの日除けが目立つ。
何といっても、ピンクのベース型の板に水色のロゴが踊る看板が、ポップで愛らしい。
「何となく、アメリカンな感じ……中もそんなインテリアかな?」と想像をかき立てられた。
なお、現在は解体され、コンビニが建っている。
存在感のある建物だったので、なくなった時は驚いた。