10月最後の金曜夜。
大阪府を南下し、和泉府中駅からタクシーに乗った。すっかり暗くなったのに、第二阪和国道を潜った先は違った。
建物という建物がライトアップされ、昼のように明るい。全て、ラブホだ。
呆気に取られていると、予約していた『アルティア泉大津』が見えた。その前で下車し、1泊した。
翌朝、駅に向かう前にホテル街を歩き回ってみた。
和泉府中駅から来て最初に見つけられるのは、『かぼちゃの馬車』だ。急角度の黒い切妻屋根、白寄りのグレーの壁の外観だ。名前から連想されるオレンジ色は使われていない。
その隣にあるのが、1泊した『アルティア泉大津』だ。白い壁にオレンジの窓が並んでいる。
出入口付近には、ツタンカーメンと動くラクダがいる。
道を挟んで向かいには、より多くのラブホが建つ。
国道寄りから、『ねこの長ぐつ』『もしもしピエロ』『ピエロ』が並ぶ。3軒の裏には、『AI』『アブノーマル』がある。
『ねこの長ぐつ』は、白とピンクが使われている。
屋上看板には、なぜか「le business hotel」(ビジネスホテル?)と書かれている。また、ホテル名のフランス語とその読み「イ・ポテス・プール・シャットス」も書かれている。
なお、動物系のネーミングは、関西で多く見られる。
『もしもしピエロ』は、出入口と建物に距離がある。丸みを帯びたストライプのサンシェード、上部が丸くなった窓、パステルカラーのピエロのイラストが、ファンシーでレトロだ。
『ピエロ』は隣とは全く違い、モノトーンの外装だ。屋根が三角形になっている。白黒で描かれた波の模様が、壁を彩る。
『AI』は「Anitime Inn」の略だ。ピンクや水色といった、パステルカラーが使われている。
『アブノーマル』は『AI』の裏にある。細い道の先に、出入口がある。紫の大きな看板が、存在をアピールしている。
それにしても、すごい名前だ。東京では、まず付けないネーミングだろう。
国道沿いの一角以外にも、何軒かのラブホが存在する。
『おもてなしのホテル・もしピ』の看板は、ドンキ・ホーテのような色合いで目立つ。ピエロの格好をした猫が、三日月にもたれてウインクしている。たぶん、「もしもしピエロ」の略だ。
このエリアでは、ピエロと名の付くラブホが人気なのだろうか。
オレンジベージュの『ルナ』。窓の並びや装飾が、博物館のようだ。
『ルナ』の向かいには、『スタイリッシュリゾート』。ラクダ色の建物で、遠くからでも大きいのが分かる。
さらに国道から離れ、槇尾川に沿って北西に進むと、ぽつんとラブホがある。
『うみがすき』という、ほのぼのした名前だ。大きな黒い屋根、オレンジ系の壁、格子の窓が、メルヘンな雰囲気だ。
しかし近づくと、「エロと魔法の世界」と銘打った、ファンタジックなトレカのような看板がある。「性勇者ゴールドロジャー」「性騎士団エロティカセブン」など、謎のキャラクターが描かれている。
一体どういうコンセプトなのか、気になる。
泉大津のホテルは、派手な外観・看板や変わった名前のところが多く、存在アピールが強い印象を受けた。
ツッコミどころが多く、大阪らしいといえる。
2023年10月散歩
『アルティア泉大津』についてはこちら↓