もう5年前から、数ヵ月〜半年に一回ペースで訪れているホテルがある。
錦糸町の『SARA』だ。
ある土曜の朝早くに訪れると、満室だった。
スタッフから「準備中の部屋がある」と聞いたため、少し待つ。
清掃はすぐに終わり、空いた部屋に通してもらった。
今回の部屋は、訪れた中では中くらいの広さだ。
落ち着いた色合いながら、ベッドの上の壁に付いたオブジェが目を惹く。
壁は、全て茶系で統一されている。
木目調になっている所もある。
ベッド横の壁は、茶系の小さなタイルを敷き詰め、光を放っている。
テレビのある茶系の壁の上部には、ロウソクが並ぶ。
また、ソファも茶色い布が貼られている。
ソファの前にあるガラステーブルには、部屋ごとに異なる装飾がある。
この部屋の装飾は、赤い花と黒い石が散りばめられ、短い麻縄が無造作に連なったものだ。
怪しげな魅力が漂っている。
気になるオブジェは、麻縄を巻き付けたトルソ3体だ。
真ん中が胴体の前を、左右が胴体の後ろを、それぞれモチーフにしている。
胸や肩甲骨、尻は縄が渦巻き状になっていて、しなやかな女性の身体を思わせる。
ベッドもまた、茶系のブランケットが掛かっている。
キラキラした素材なので、贅沢な気分に浸れる。
横たわると、シャンデリアが目に付く。
黒色の本体と、赤い天井の光が好対照をなす。
シャンデリアの一部をよく見ると、麻縄が巻かれている。
縄をここまであちこちに使っている部屋は、珍しい。
壁に並んだロウソクも視界に入ってくるので、より艶っぽさを感じる。
うつぶせになると、トルソを近くで眺めることができる。
下からの角度だと、迫力を感じる。
低い位置からは、トルソの切れ目の部分まで縄が巻かれているのも分かる。
細かい部分まで抜かりないオブジェだ。
今回は、落ち着いた茶系でまとまりつつも、麻縄モチーフで妖艶さを漂わせる部屋を訪れた。
この5年の社会の変化を思うと、好きなホテルが続いていることは奇跡に見える。
今後もホテルがあり続けることを、祈るばかりだ。
2025年1月探訪