よく晴れた日曜日の夕方。
横浜スタジアムの前を歩いていると、勝利を称える花火が数発打ち上がった。
野球に関心がない私は、JR根岸線の石川町駅へと歩いていく。
すると、こんな建物が見えてきた。
細長い、白と黒しか使われていないホテル。
名前は『ルッソクローチェ・アーバンリゾート』だ。
さりげなく「ようこそ煌(きら)めく大人のアーバンリゾートへ…」と、すてきなキャッチコピーが書かれている。
低層階は、黒地の壁に白枠の窓が並んでいる。
高コントラストで洒落ている。
高層階は、白く突き出た部分がいくつか見られる。
露天風呂のスペースだろう。
続いて現れるのは、『カサデフランシア』。
天井の看板は、白、ピンク、青が使われていて、華やかだ。
赤と青のネオンは、どこか色気が漂う。
ビル部分は、ピンクと白のボーダーに塗られ、イチゴのケーキのようだ。
バルコニーの柵は黄色で、繊細な模様を描いている。
看板とビル部分をつなぐエリアには白い柵があり、西洋の宮殿を思わせる。
メルヘンな要素が、これでもかと詰め込まれている。
向かいには『グランドガーデン』と『ラルーン』が並ぶ。
『グランドガーデン』は、このエリアで一番建物が高い。
「全室導入最高級ベッド」と垂れ幕に書いてあることから、高級路線のようだ。
低層部は、黒い壁に金色タイルの横線模様があり、透明な円形の装飾が目立つ。
高層部は、灰色で片方が波打った輪郭の板が特徴的だ。
前衛的な印象を受ける。
『ラルーン』は、ベージュや茶系の色でまとめられている。
看板の「L」の横棒の先端に飾りがあり、エキゾチックに見える。
建物は2つに分かれている。
どちらにも、サンドベージュの壁とグレージュの城壁がある。
三日月と槍を組み合わせたマークが、間接照明で光る。
アラビアの城を彷彿とさせる。
『カサデフランシア』の角を曲がった先には、ホテル『アイエス』がある。
屋上看板は、かなり年季が入っている。
壁は白と茶色が使われている。
ほとんどの窓にサンシェードが付いている。
四角形で斜めに張るタイプと、蛇腹状で開くと半球を描くタイプの2種類が見られる。
歩き回っていると、野球ユニフォームモチーフのTシャツを着た中年カップルとすれ違った。
着ていたのはDenaベイスターズではなく、対戦相手のユニフォームTシャツだ。
2人がホテルに消えるのを見て、
「アウェーの地で野球のゲームを観た後で、アウェーの地のホテルで愛のゲームか……」
と、野球ファンが羨ましくなった。
2021年5月散歩
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