東京から近い温泉地・湯河原と熱海。
この2つのエリアの間に存在する『ファンタジア』は、レトロ好きな若者に大人気のモーテルだ。
湯河原駅からタクシーに乗ること、約5分。
熱海ビーチライン沿いに、ピンクの看板が見えてきた。
看板の手前で降り、細い道を歩き、モーテルの敷地に入る。
前日に電話予約した部屋を探す。
ガレージに、「ご予約」のハート型看板が立っている。
予約した部屋もそれ以外も、真っ白な壁が眩しい。
従業員の女性が外にいたため、会計を済ませた。
屋外でホテルの部屋代を払ったのは初めてだ。
明るい茶色のドアを開けると、靴を脱ぐスペース、会計ができる小窓、そして赤い階段が現れる。
階段を上り、また別のドアを開ける。
いきなり、「サウナルーム」の文字が飛び込んできた。
半透明の扉は浴室へ通じている。
洗面所やトイレも近くにある。
水回りが入口ドアに近いデザインだ。
ドアから見て左手に、階段が3段ある。
登った先には、こんな光景がひろがっていた。
赤い照明、赤い壁、赤に派手な柄の柱。
部屋のタイトル「楊貴妃」通りに、中華モチーフが散りばめられている。
ベッドのスペースの他、テレビやソファのあるリビングのスペースもある。
ソファは、座椅子のように座る位置が低い。
西洋風のボタニカル柄ながら、渋い色合いなので雰囲気に合う。
ソファを囲むように、茶系の正方形の板が何枚か貼ってある。
それぞれ、金色の細やかな装飾が角を彩り、二重丸の装飾が真ん中を陣取る。
天井に目を向けると、赤く塗られた木の板に金色の飾りを貼り付けた板がある。
板は4枚あり、中央に四角形の照明器具がはまっている。
天井に近い壁を見ると、四角い渦巻きの雷文が横切る。
左右に竜を付けた五角形の照明器具が、天井の模様を照らす。
リビングは、ただくつろぐだけではもったいないスペースだ。
リビングとベッドスペースは、梁と柱で隔てられている。
梁には、立体的な竜のレリーフがある。
緑色と金色に塗られて、暗くても光を放っているように見える。
梁と柱をつなぐ部分は、金色の鳳凰が彫られている。
柱は赤色をベースに、金色の竜が描かれる。
竜は柱に巻き付いているように見える。
絵の具で塗った上から加工を施しているのか、竜の鱗が浮き出て見える。
ベッドの奥には、赤く光沢のある板が貼られている。
縁が金色の長方形の板を、5枚並べたものだ。
ただの板なのに、高級な中華料理屋を連想させる。
板5枚の上で、細い雷文が彩りを添える。
雷文の上では、照明器具が赤い光を放つ。
金色の土台から曲線を描いて電球がぶら下がり、電球の周りを連なったクリスタルの玉が取り囲む。
中華モチーフに、情熱的な要素を加えている。
ベッドの頭側には窓があり、バラが描かれている。
絵のタッチは色合いや陰の付け方からして、どことなく中華風だ。
ベッドに横たわる。
天井には、ハートモチーフの鏡があり、ベッドを映し出す。
右を向くと、赤い板や赤い光の照明が目に入る。
左を向くと、竜の柱やリビング側天井の装飾が見える。
どこを見ても、中華だ。
窓を開けると、他の部屋が見える。
全部連棟形式だと思っていたが、一部は離れになっている。
「冷暖房中」の看板に、気遣いを感じた。
3段の階段を降りて、浴室の扉を開ける。
真っ赤な壁に囲まれた浴槽は、淡いピンクのハート型だ。
ベッドの空間にあったバラの窓は、浴室からも見ることができる。
今回は、中華モチーフによる情熱的な雰囲気を、階段を登る高揚感を経て楽しめる部屋だった。
2022年3月探訪
公式サイト:
http://www.love-castle.com/html/access/index.html
↓『ファンタジア』の馬車ベッドの部屋についてはこちら