渋谷の道玄坂は、東京を代表するラブホの街だ。
坂に沿って、広範囲に渡りひしめく。
今回はその中でも、一際インパクトの強いラブホを訪れた。
名前を『スイーツホテル・ルビー』という。
109から道玄坂を登り、コンビニとふぐ料理屋に挟まれたやや細い道に入る。
早くも、目を疑う建物が見えてきた。
お菓子がこれでもかと貼られた建物が、2棟もある。
左はピンク色、右は茶色が、それぞれ基調となっている。
建物の正面にやってきた。
ピンクの方は、クッキー、ビスケット、ホイップクリームが壁を埋め尽くす。
入口付近では、ソフトクリームやアイスクリームが並んでいる。
茶色の方も同様だが、こちらは小さなメリーゴーラウンドがテラスで回る。
さらに、お菓子をぶら下げた木が、口を動かして何かを喋っている。
まず、茶色い方『スイーツホテル・ショコラ』に入る。
部屋の案内画面を見るも、真っ黒で何も映らない。どうやら、満室のようだ。
続いて、向かいのピンクの方『スイーツホテル・ルビー』へ向かう。
甘い香りが漂うフロントで、空室を見つけ、落ち着きを取り戻す。
部屋を選び、料金を前払いする。
部屋の鍵を開けると、こんな空間が広がっていた。
お菓子達が、部屋のあちこちに散りばめられている。
色は多彩で、現実離れしたサイズだ。
ドアからベッドルームは数歩でたどり着く。
ベッドの頭部側の壁で、ドーナツ4個が踊る。
左から、チョコチップ(?)、ベリー、苺ミルク、チョコチップ、と思われる。
寝具の上にも、ドーナツのクッションが4個乗っている。
全て柄が異なる。
ベッドボードの操作パネル横に、気になるものを見つけた。
ハンバーガーだ。
上のバンズは持ち上げることができ、中はこうなっている。
バンズの裏が受話器、チーズがプッシュボタン。
正体は、電話機だった。
一体どこで売っているのだろうか。
ベッドの横には、長いすが置かれている。
座面の多くは、ワッフルの絵柄だ。
背もたれの上部では、チョコレートが垂れ、クリームが乗る。
頂点を、サクランボが占領する。
ここのクッションも、ドーナツ柄だ。
長いすの向かいのテーブルも観察する。
ガラス板の下に、大きなクッキーが3個入っている。
ジャムの艶や焼き色がリアルだ。
長いすから見える壁には、1個だけお菓子がある。
棒状で、チョコを部分的にまとった、パン菓子と思われる。
ぽつんと壁にいる様子が愛らしい。
浴室も普通ではない。
壁は、赤の小タイル貼りとパステルカラーの大タイル貼りが、ストライプ状になっている。
不規則に鏡もある。
浴槽は楕円形で、側面は鮮やかな赤色で塗られている。
ベッドルームとは違う、情熱的な雰囲気だ。
ベッドに横たわる。
天井は以外とシンプルな、黄色一色だ。
とはいえ、こんがりしたきつね色を連想させる。
ぶら下がったシャンデリアは、金色の王冠モチーフだ。
様々な色のクリスタルは、ゼリー菓子のように見える。
横たわって首を上に向けると、ドーナツが視界に入る。
ふんわりした厚みや際立った色合いは、ドーナツに囲まれているような錯覚が起こる。
私は甘いものが特段好きという訳ではない。
それでも、巨大なお菓子のオブジェに囲まれると、何となく幸福感がこみ上げてきた。
甘党もそうでない人も、一度は行く価値のあるホテルだ。
2022年4月探訪、2024年閉業
公式サイト:
https://shibuya-sweetshotel.com/
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