ホテル街というのは異様で面白い。
特に、池袋北口にあるそれは規模が大きく、迫力が感じられる。
まず他のホテル街と違うのは、線路沿いに堂々とそびえ立っていることだ。
駅前にあるという点では鶯谷も同じだが、そちらは線路と同じ高さ、正確には低地に建てられている。
一方、池袋北口のホテル街は、電車から見上げるような高い位置にある。
そびえ立つという表現がふさわしいと言えよう。
山手線で池袋から大塚へ向かう時などは、見せつけられているようで威圧感がある。
その女王様のような態度がまた魅力的なのだが。
もう一つ他と違うのは、風俗店も混在していることだ。
派遣型風俗がホテル街にあるのはよくある光景だが、店舗型風俗が同じ街にあるというのは珍しい。
その事情はよく分からないが、ありそうでない特徴である。
実際にその辺りを歩いてみると、電車から見えるのは風俗店3軒くらい、ホテル5軒くらいだと分かった。
どれも見上げるような高さのビルだ。
風俗店は真っ昼間なのに、競うようにネオンがピカピカ光っている。
一方、ホテルはほとんどが洗練されたデザインの看板で、シックな印象を受ける。
唯一の例外は端っこにあるホテル『ワールド』だ。
看板の文字は筆で「えいやっ」と書いたようで、昭和の匂いがプンプンする。
ここまでグローバル感のない『ワールド』という文字も滅多にないだろう。
『ワールド』の奥には更にホテル街が続いている。
線路沿いとは違い、背の低いホテルが多い印象だ。
新しくてきれいな(少なくとも外観は)所が多く、たまに老舗が混ざっている。
突き当りには、『スカイロード』『ニュースカイ』『スカイラブ』というホテルがある。
名付けた人は空にこだわりでもあったのか。
『スカイラブ』なんて、漫画『キャプテン翼』の技名から取ったとしか思えない。
隣りの『エルス』にはペリカンの置物が飾ってあるのだが、色があせてほとんど白くなっている。
塗り直せば可愛くなるのに、もったいない。
それらの通りの奥にもう一件ホテルがあるが、それより北側には住宅街が続いている。
古い家が多く、のどかな雰囲気だ。
癖がすごいホテル街の裏とは思えない。
池袋北口は、一味違った魅力に溢れたホテル街なのだ。
2018年5月散歩
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