JR横浜線の淵野辺駅は、快速が停車しない小さな駅だ。

しかし、JAXA研究所や青山学院を初めとするキャンパスがある、重要なエリアである。
そして、ホテル『ザ・ウェーブ』も淵野辺が最寄り駅だ。

朝の9時頃、ホテルに入る。
パネルを眺めていると、気になっていた部屋が空室なのに気が付く。
迷わず選んで、料金を前払いした。
深緑のドアを開けた先には、こんな空間が待っていた。

装飾的な天井や柱、赤い絨毯。

鏡を背にして立つ、丸いベッド。
ファンタジー、又は異世界という表現がよく似合う。

ドアから向かって右側がソファと洗面所のスペースであり、左側がベッドのスペースだ。
手前には、ガラスに囲まれた浴室がある。

右側から見ていく。

ソファは作り付けで、布は黒地に草花の柄だ。
壁は赤と黒の花模様になっている。
白い柱が、左右を取り囲む。

テーブルは白い大理石で、足は金色に塗られている。
ソファに座る。

白い天井は、四角くくり抜かれて、シャンデリアを目立たせる。

シャンデリアは、小花が放射状に咲いたデザインだ。

左側に写る鏡は、洗面所のものだ。
鏡は奥まった部分に貼られ、鏡の手前には白いアーチと柱がある。
アーチをよく見ると、バラの花が隙間なく彫られている。

洗面所は、平凡ではない。

なぜなら、隅に謎の人形がいるからだ。中世ヨーロッパの貴族らしい。
鏡が合わさり、1体なのに4体いるように見える。
水瓶を持っているのが、場所に似合っている。

人形はもう一体いる。

赤と白のドレスに身を包み、羽の生えた女性だ。
こちらは人間ではなく、天使のようだ。

ソファとベッドを仕切る、柱に囲まれた小さなスペースに、電話がある。

電話は、緑を基調に金色を散りばめた、直線的なデザインだ。
エメラルド色の球状物がダイヤルに囲まれ、宝石のようだ。

左側・ベッドを見る。

ベッドの後ろは、鏡貼りの壁だ。

白い柱とアーチに囲まれ、普通の鏡とは違う品の良さが感じられる。

柱の上に、鳩がいる。

羽の雄大さと秩序立った並び方と、胸部の曲線的な膨らみが、実物よりも美しい。

ベッドの布は、ソファと同じ柄だ。
派手でないのに、存在感がある。

ベッドヘッドは、湾曲した半円状になっている。
操作パネルは、カーブに馴染んでいる。
ベッドに横たわる。

ソファから見えたものと同じデザインのシャンデリアが、頭上にある。

視線を移すと、シャンデリアがもうひとつあることに気が付く。

こちらは、他の2つとは違い、大振りの花がモチーフだ。

シャンデリアが3つもある空間は初めてだ。

横たわって右側に目をやると、テレビや冷蔵庫などがあるのに気が付く。
白い柱やアーチ、鳩が、生活感を薄れさせる。
横たわって左側には、窓がある。

アーチと平坦な面を繰り返す、複雑な白い天井が目に入る。
窓を開けると、こんな景色が見える。

向かい側にもラブホがあり、マンションなど住宅が密集しているのが分かる。
遠くには、丹沢山などの山脈がそびえる。
自分がどこにいるのか、一瞬分からなくなった。

浴室を囲むガラスは、凸凹の装飾で彩られる。凸凹が映し出すのは、険しい山々に囲まれた城の絵だ。

浴室のドアの先には、猫足バスタブがある。

小さな照明器具は、金色のぶどうに囲まれている。

洗い場は、青と白のタイルに囲まれ、とても広い。

バスタブに入ると、城の絵がシャンデリアの光で赤みを帯び、より輝かしく見える。

この部屋は、どこを見ても異世界の要素に溢れている。

ソファに座っても、ベッドに寝ても、バスタブに入っても、変わらない。

隅から隅まで、観察していて飽きない部屋だ。
2022年5月探訪
公式サイト:
http://hotel-the-wave.com/smp/
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