令和に入り、数を減らしている回転ベッド。
浜松の『ユートピア』には、貴重な回るベッドを置いた部屋がある。
東京から新幹線で浜松まで乗り、浜松から東海道線で一駅の、高塚で降りる。
高塚から、海側へと歩いていく。
住宅街とネギ畑の道を歩いて、約1時間。
遠州海岸(防潮堤で海は見えない)に程近い、ホテル街にやって来た。
1年ぶり、2度目の探訪だ。
前回は、鍵穴形の壁と光るベッドの部屋に入った。
今回は、どんな部屋だろう。
引き戸を開けて、電気を付ける。
目に飛び込んで来たのは、真っ白な壁や天井と、赤と緑の丸いベッドだ。
ベッドの手前に、リビング空間がある。
テレビの前に、茶系の模様が施されたテーブルと、水色のソファが佇む。
リビング空間の真上には、菱形に窪んだ空間がある。
空間の中心から、シャンデリアがぶら下がる。
真ん丸の電球6つが、光を放つ。
洗面所は、ソファと同じ水色が使われている。
鏡の両端には、緑の装飾がある。
さて、ベッドを観察する。
無彩色の空間に対し、目立つ2色だ。
ベッドのマットレス部分は、鮮やかな赤色だ。
ベッドヘッドには、枠付きの鏡が立つ。
左右両端では、濃い茶色の木の棒が鏡を支える。
鏡は4枚使われ、上部はアーチを描く。
アーチの縁には、赤と緑の布が貼られ、ライトが付く。
ベッドヘッドにあるボタンを押すと、ライトが点滅する。
ベッドに横たわると、白い天井が見える。
よく見ると、細長い部材が貼り付き、凸凹が感じられる。
一部の部材は、細長い鏡となっている。
ベッドヘッドにあるボタンのうち、「左回転」を押す。
カチッ
ガタンッ、カタカタカタ……
大きな起動音と共に、ベッドが回り出す。
時折、ギギギと軋む音もする。
振動は少なく、音の割にはスムーズだ。
一周するのに、およそ2分かかる。
360度の壁面を見ることができる。
壁の3方向とも、装飾が少ないのが分かる。
天井は、普通の白い天井と鏡で、印象が異なる。鏡の真下にベッドヘッドが来ると、不思議な感覚を覚えた。
回る間に、鏡に映るベッドの姿が目まぐるしく移り変わる。
回転ボタンを押して、ベッドから降りる。
少し離れた所から、ベッドを観察する。
ベッドヘッドの後ろは、深い緑色だ。
アーチの連なりも相まって、子供が描く山のようだ。
上から連なりを見ると、意外と厚みがあるのが分かる。
横から見ると、白い上掛けがはみ出しているのが分かる。
左向きでも右向きでも、赤と緑のコントラストの強さは変わらない。
回る姿は、一生懸命な印象を受ける。
今回は、鮮やかな2色遣いの、健気に回るベッドを見ることができた。
今後も、その色合いと動きで、人々を魅了して欲しい、と願う。
2023年1月探訪
公式サイト:
https://www.hotenavi.com/ks-utopia/
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