そのホテルは、まだ午前10時なのに、9割が在室だった。
よほど人気なのだろう。
今回は、こんな部屋を選んだ。
壁一面に、青い花が咲き乱れている。
クッションやベッドライナーも青なので統一感がある。
ソファーやベッドカバーはグレーを使い、青色を引き立てている。
ライトもブルー系で、妖艶な雰囲気に仕上げている。
ベッドの奥の壁には、円形の鏡が貼ってある。
シルバーのタイルでドーナツ状に縁取られ、光を反射する。
ベッドよりずっと高い位置にある。
横になって目に留まるのは、天井の一角にぶら下がるシャンデリアだ。
透明なクリスタルの飾りが揺れる。
電球の入った傘を支える部分はピンク色だ。
青い間接照明の中で、8個の電球がオレンジ色の照明を放つ。
天井のその辺りは、混合されて紫色になっていた。
ベッドの頭部にあるティッシュボックスや電話は、全て黒色だ。
私が一番気に入ったのは、ガラステーブルの下にあるアートだ。
青と黒のアクリルアイスを敷き詰め、その上に銀色のバラや蝶のオブジェが乗っている。
2色は、きっちり左右に分かれるのではなく、絶妙に混ざっている。
バラは糸状の素材を編んで作ったと思われる。
蝶は金属の板をくり抜いてできたものだろう。
大胆な色使いと繊細な飾り物が、目を釘付けにした。
こんなに素敵なアートなのに、テーブルの上にリモコンやメニューがあるせいで、パッと見ても分からない。
たぶん、多くの客はこれに気づかない。
私はラッキーだった。
とても妖艶で芸術的な空間だった。
2020年3月探訪
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